土葬の村

こんな本読んだ
先日読んだ「お葬式の言葉と風習」の姉妹版といった感じ。
日本は火葬率99.9%とのことだが、かつては土葬も、野焼き火葬も、風葬(遺棄葬)もあったとの記述に驚く。
詳細な野焼き火葬の描写は凄絶である。土葬した遺体を掘り出して洗骨した与論島、孫が「こわくなかった?」と聞かれてうなずいた後にさめざめと泣いた、という記述には鳥肌が立った。コンクリートとガラスの中で暮らし、出来上がった葬儀しか知らない現代の都会人には、こうした生々しい葬儀は耐えられない。
現代の火葬では、喪主が点火のボタンを押す時に「これを押すともう引き返せない」と感じるが、実は土葬でもそうだ。祖父の葬儀で、棺を穴に入れ、促されてその上に土を入れる瞬間、「これを入れるともう引き返せない」と感じた。土葬の記述で、その感覚を思い出したのは、私にとっては1つの収穫だった。
日本で土葬が禁止されているというのは誤解である。土葬を望む人に応える「土葬の会」というグループがあるそうだ。私は亡くなった人を当たり前に土に埋めていた日本も知っているし、世の中にあらがうように土葬を選ぼうとする人たちが現れた日本も知っている。歴史の狭間にいる、と言うのは大げさだろうか。
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