私が「互相学習」しない理由

留学も実質的にあと2ヵ月になった。何か身になることをしたいんだけど、何をしたらいいだろうか。あれこれ考えたり、友だちと話したりしたんだけど、今のところ一番身になる勉強はやっぱり授業だという結論に達した。

私の知る限り、日本人留学生はほとんどが「補導」を頼んでいて、「互相学習」をしている人はあまりいない。聞いてみるとお互いのレベルが違って勉強にならない(特に日本側の口語のレベルが低い)、何をやるかきちんと決めないので勉強にならない(これは中国側が単なるおしゃべりをしたがる傾向があるようだ)という意見が多い。私も以前キャンパスで声をかけられて断りきれず「互相学習」を1、2回やったことがあるけど、もうやりたくない。理由はいろいろある。でも一番大きな理由は申し訳ないけれど、今の中国の大学生があまりにも知識偏重で得ることがあると思えないからだ。

彼らは激烈な受験戦争を勝ち抜いてきたので、確かに何でもよく知ってるし、日本語も流暢にしゃべるけれど、自分が習ったこと、本や辞書に書いてあることだけが正しいと信じ、ほかの考え方や意見を認めようとしない。以前、日本語を教えている先生と日本語学科の学生と話しているとき、「季節ごとに」というフレーズを「せつとに」というアクセントで言ったので、私たちが「きせつごとに」だよと直したら、いや、季節のアクセントは頭高だといってきかない。最後に辞書を持ち出し、ほら、頭高でしょといって勝ち誇った顔をしている。こっちは白けてしまってそれ以上は何もいう気がしなかった。この子の場合はアクセントが変化するという基本的な知識が欠けていてレベルが低かったんだけど、それよりも自分の習った知識を絶対だと思い、ネイティブの意見より辞書を信用するという態度が我慢できなかった。

ここんとこ続いていた教育実習生の授業もそのパターンだ。内容が哲学的な文章だったので、誤解やいろんな意見が出ることは避けられないと思う。でも彼らは筆者はこの文をこういう意味で書いているんだ、という自分の解釈を説明し、「わかった?」と言うだけ。こっちが違う意見を言うとだんだんいらいらしてくる。意見の違いがこちらの中国語力不足なのか、解釈の違いなのかも判断しようとしない。

日本もそうだけど、今は勉強というものが「これとこれを覚えたら合格」というふうにマニュアル化されていて、マニュアルを要領よくこなせる学生が優秀だ。私は勉強していて、答えが1つじゃないことが面白いと思うし、人と意見が違うことが貴重だと思うし、それを分析したり違いを生む背景を探ったりする過程が楽しいと思う。

幸い、漢学院の先生方は私のこういう考えを理解してくれるので、やっぱり授業を一生懸命やるというのが今のところ一番いい勉強法のようだ。

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コメント

  1. sang shan より:

    こんにちは、cowleyさん。
    上の意見を読んで、「なるほど~、そうかも!」と思った反面、
    「自分のときとパターンが逆だなあ」と思ったりもしました。
    あくまで私の場合ですが、「補導」も「互相」やって、
    「互手学習」のほうがためになった(当たった人が良かった??)記憶があります。
    相手が1年生後半~2年生になりかけの人だったこともあるかも知れませんし、
    北京という比較的日本語学習に恵まれた土地?だと、
    「こっちが主導権を握って日本語を話し続けてやる!!!」
    という気合も薄れるからかも知れません。
    知識偏重については人によるかな・・・、
    でも、とことん批判を許さない、という姿勢の人については、
    cowleyさんが上に書いてあるような傾向は確かにありますね。
    私、それでものすごい勢いで反論されたことがあって、
    それ以来暫くの間中国人が恐ろしくなってしまったこともありました(笑)。
    少し話はズレます。
    日本人と中国人のもっとも顕著な違いだとも思うのですが、
    前cowleyさんがスピーチコンテストだったか作文コンテストだったかで、
    「書くことがな~い」とわめいていた留学生について書かれていましたが、
    中国人だととにかくしゃべる・意見を言う・何でも試してみるってことについては日本人より貪欲ですよね。
    「そこから出てくる意見が、みんなステレオタイプだからつまらない」と逆批判される方もいますが、
    中国語を勉強しているのに「書くことがない~(話すことがな~い)」とやってる日本人と、
    意見が大本営発表的なところはあるけれど、
    とにかく自信を持って話す中国人と、どちらがより「異文化交流向き」なのか、考えてしまうところはあります。
    何だかまた訳の分からないこと書いてすみません(笑)、
    また遊びに来ますね☆

  2. cowley より:

    この日はかなり過激な書き方をしてしまったんですが、もちろん全部の中国人学生がこうなわけではなく、あと、私は学生と年が違いすぎて話題が合わないという事情もあると思います。(もしかしたらこれが一番大きいか…)今のところ、この人だったら一緒に勉強してもいいなと思う学生には残念ながら会っていないということなんです。
    あるヨーロッパの同学がキャンパスでやたらに英語で話しかけられ、要するに英会話の練習台にされていて怒っていましたが、私も中国人学生と話していて「この人は私と話したいんじゃなく、私の日本語ネイティブという部分と話したいんだ」と感じることがありました。そういうときって…とってもがっかりしますよね。

  3. sang shan より:

    上のご意見、全く同感です。
    その辺り、中国人の子もストレートというか、
    分かりやすいというか、もう少し下心??隠してくれてもいいじゃん、と思うこともありました。
    また、旅先で出会った旅行会社の人が、
    何があっても日本語しか話してこない!だとかもありましたね。(日本語ガイドなんて頼んでないのに、お金まで出して私は練習台???)。
    その逆を考えたとき、
    日本でそこそこ中国人に出会うにもかかわらず、
    まだ自分にはガッツが足りないのかと思いますね(笑)。
    ではまた来ます☆体に気をつけてくださいね☆

  4. cowley より:

    ガッツ。うーん、いいですねえ。中国人と話すときのあの心境を端的に表してますねえ。私はやっぱガッツが足りないです。しかも最後は「ああ…もうどうでもいっかあ…」と中国人ペースに巻き込まれてしまう。しかもその瞬間はガッツ出すより気持ちよかったりします。日本人って相手に合わせることに快感を覚えるのかしら。それとも私だけ? 私が年だから…?

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