不愉快なできごと

翻訳

久しぶりに気分の悪くなることがありました。

ちょっとしたお知らせを日本語から中国語に訳すという仕事で、中国語ネイティブが訳し、私がチェックをしたのですが、しばらくたってクライアントから朱が入って返ってきました。

クライアントいわく「先方で詳しい人に見てもらった」。

頭にきました。詳しいって日本語に詳しいの、中国語に詳しいの、翻訳に詳しいの、その分野に詳しいの。そんなに詳しくて信用できる人なら、最初からその人に頼めばいいでしょう。

朱を入れてそれをこっちに送ってどうしてほしいの。その人の訳に直したいなら、そっちで勝手に直せばいいでしょう。

以前はこういうクライアントってよくいました。翻訳会社の看板を掲げて、プロとしてやっているところに依頼しているくせに、「社内に中国人がいるから見てもらった」とか言って直しを要求する人、社内の中国人は翻訳のプロなんですか。ことばさえできれば翻訳なんて誰がやっても同じと思ってるんですよね。

と心の中でさんざん悪態をつき、落ち着いてから、入ってきた修正を見ると、意味の取り違えから誤訳になっていたり、中国語にない単語を使っていたり、単に言葉を言い換えたりしているだけ。

エージェントにいちいち指摘して「修正の必要はない」と言いました。

こういうクライアント、エージェントや翻訳者にまったくムダな仕事をさせてるって全然思わないんでしょうね。こんな人ってまだいるんだとむしろ感心しますよ。

たとえ中国語がわからなくても、誰を信頼してまかせるのかの決定ができない。あっちにもこっちにも見てもらって、念を入れてるつもりになってるんでしょうけど、こちらが修正は必要ないと突っぱねたら、見てくれた詳しい人とやらの訳を捨てることができるんでしょうか。どちらを取るのか、結局は中国語のわからない自分が決めなきゃならないんですよ。

…また腹が立ってきました。もうやめましょう。

たとえこんなことがあっても、自信をもって「こちらの訳で問題ありません」と言える仕事をすればいいんだと戒めにします。

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