日本語を勉強している男の子と話した。マンガを描くのが好きだと言う。自分で書いたイラスト(↓これ)をくれた。私はマンガの善し悪しなんてわからないけど、日本でよく見かけるアマチュアマンガ家の絵と比べて遜色ないように思われた。「うわー上手じゃない」と言ったら、片言の日本語と中国語を混ぜて話をしてくれた。
小さい頃から絵やマンガを描くのが好きだったんだ。最初に日本のマンガを見たときには本当にびっくりした。なんでこんなに描けるのか全然わからなかった。中国のマンガやアニメも進歩したと思うけど、まだ日本の1990年にも届かないと思う。それに中国の進歩よりも日本の進歩のほうがずっと速い。自分はマンガの描き方をずっと独学で手探りで勉強してきたけど、日本ではこんなにどんどん進歩してるってことは、ちゃんとした勉強の方法があるんだろうと思った。そしたら、人から日本にアニメなんかを勉強する専門学校があるって聞いたんだ。
「これは夢なんだけど」と前置きして、ちょっと恥ずかしそうに彼は「できれば日本のそういう学校で勉強してみたい。中国のマンガの発展に少しでも役立ちたいと思う」と言った。
彼は自分の今の日本語のレベルでは留学は無理だろうということ、そういう専門学校で留学生を受け入れてくれるかどうかわからないということもちゃんと理解していた。そしてマンガを勉強しに日本に行くなんていうことがほかの学生に比べて「幼稚だよね」とも言った。
だけど…外国語に限らず、何かを勉強するきっかけや動機なんて本来自分勝手で人からみたらバカみたいなものなんじゃないだろうか。そして、そういう自分だけが理解できる動機を持っているほうが実際にはずっと強いという気がする。日本語を勉強している学生が「日本語を勉強して、いい仕事をしたい」と言うのを聞くたびに、就活マニュアルの面接攻略法を読んでいるような気持ちになる。いい仕事って何。あなたにとってのいい仕事って何なの。
人から見たらマンガが好きで、マンガを勉強したいなんて幼稚かもしれない。でも、それを自分の将来に結びつけて、いろいろな問題にきちんと向かい合っている彼は決して幼稚じゃないと思う。そして、夢を実現する手段として一生懸命日本語を勉強しているのを見て、日本語って幸せな言語だなあとふと思った。
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