Webtoon翻訳実態調査

翻訳

Xで流れてきたこの実態調査、驚きました。

私はwebtoonもマンガの翻訳もやったことはなく、こんな仕事があること自体にびっくりしました。

まず思い出したのは以前やった字幕翻訳のことです。当時私は駆け出しで、いろんな分野を経験しようと思って字幕翻訳のトライアルに合格して仕事をもらい、連続ドラマや映画のトレーラーの翻訳、映画字幕のチェックなんかをやりました。

翻訳者の中では、字幕翻訳は待遇が悪いことで有名でした。報酬は確かに安かったのですが、最初から安いというより、決め方がヘンでした。まず作品全体の予算があり、(たぶん)配給やら宣伝やらでどんどんお金を使っていって、残ったところを翻訳に回すと聞いて、どうりで単価がばらついてるんだと思いました。作品の理解に直結する翻訳に真っ先に予算を振り向けてくれるわけじゃないのです。業界の習慣だとは思いますが、訳すべき文の分量がどれくらいあるか、どんな難易度かにかかわらず、映像の長さ(分数)で値段が決められるのも疑問でした。納期も信じられないくらい短いことがありました。

そういう待遇が嫌になったというのもありましたが、私の場合は字幕翻訳を楽しいと思えなかったので、少しずつお断りし、最終的にやめました。考えてみれば華流ドラマ(その頃はまだなかったけど)も中国アニメも見ないので、字幕に思い入れもなかったし、字数にしばられながら訳すのがつらかったというのもあります。

webtoonと字幕では違うと思いますが、翻訳という仕事を尊重してくれないという点で、なんとなく似ているところがあるなあと思った次第です。

それから考えたのは、webtoonをやっている方は、翻訳という仕事をどう考えるのかということです。マンガが好きで、かかわれることに喜びを感じているのかもしれません。でも、待遇に納得できずに続けることについて、一度は正面から考えるべきではないかなと思うのです。

待遇はどうでも、webtoonにかかわれることが自分にとって価値があるのならそれでいいですが、キャリアを積む中では、webtoonが好きという気持ちと、翻訳者としての価値づくりと、何よりも生活と、どこに重きを置くのかをいつかは考えなきゃならないと思うのです。

私は幸い字幕と同時に産業技術翻訳を手がけていて、そちらで評価を受けていたし、仕事も私の性格に合っていたので、そちらに重心を移すことにまったく迷いはありませんでした。でも、もしどうしても字幕がやりたかったら、どうしていただろうと思います。お金じゃない、好きなことをやりたいと思い続けることができただろうか。

翻訳業界や翻訳者全体のことを考えたら、納得できない待遇の仕事を引き受けてはダメだとも思います。エージェントにとっては、この待遇でもやってくれる人がいるなら、ずっとこの待遇でオファーするし、仕事も成り立ってしまいます。引き受けなきゃいいんだ、というのは乱暴だし、理想論にすぎないとは思いますが。

この問題、個人の力でどうにかなるとは思いませんが、少しずつでも声を上げていかないと、永久にそんな問題はないことになってしまうと思うので、書いてみました。

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました