安価至上主義

通訳案内士、登録カードだけはもっていても看板を掲げてるわけでもなく、営業をしているわけでもないので、仕事がくることはまずない。とはいえ、忘れたころに声がかかることもあり、それがちょうど昨日であった。

友人からの紹介。3人のグループ、タクシー借り切りで1日札幌と近郊観光とのこと。ガイド代は食事込みで2万、タクシーは別料金(たぶん3万くらいになる)、でもガイド代が高いと言われているので、値切られるかもしれないとの話だった。

夕方連絡をとってみると、夜どっか見に行くのに言葉がわからないから来いと言う。話が違う。一日ごろごろしてたのですさまじいかっこしてるし、夜になって出て行くのは嫌なのでさんざんもめたあげく断ると、じゃあ食事から帰ったら連絡すると言って切られてしまった。明日の話をする間もなし。

タクシー会社の人を待たせているので、時間を見計らって連絡したが連絡がとれない。9時を回ったところでタクシー会社の人にこの時点でわからないんじゃ車は出せないと言われる。ごもっともです。

それから待つこと1時間半、11時近くなってやっと電話があった。今からじゃ遅いから来てもらうのはムリだなと言う。まだ呼びつけるつもりだったのか。翌日の話になったので、予定していた車がダメになったので別に探す必要があることと料金を伝えたら、車がなきゃダメじゃないかと言いながらとにかく9時にホテルに来いということになった。

今日になっていくつかのタクシー会社の電話番号を控えてホテルに行くと、到着前に電話が入る。出るとほかにどんなサービスをしてくれるんだと言う。どういう意味だ、こりゃ?私はガイドだけなので、観光案内と買い物の手伝いくらいで、例えば遠くに行きたいという場合も私が切符の手配をするようなことはできないと言うと、近くにいる仲間とわーわー話しながら電話を切られてしまった。

すぐに折り返し、もうホテルに着いてるんだけどというと、じゃあロビーでということになったのだが、エレベーターから降りてきてあいさつをしたとたん、2万に車のチャーター3万は高い、昨日は洞爺に行ってガイドも車代も込みで2万だった、今日も同じ2万だというから頼んだのに、話が違うと言う。

それを聞いてびっくり。全部込みで2万?と確認したら、うん、そのうちガイド料は1万だと言ってたと言う。開いた口がふさがらないとはこのことだ。

私はそんな値段ではとてもやれないと言うと、こっちもそんな高いんだったら自分たちで行くからいいと言って、仕事はお流れになった。なんでこんな行き違いになったのかはよくわからないが、私が何回か電話で話した感じでは、こちらの話を最後まで聞かずに自分の都合を言おうとしていたので、ガイド代2万というところだけ聞いて、タクシー代別料金というところは聞いてなかったのかもしれない。

それにしても電話ではきちんとしたお金の話をせずに呼びつけて、その交通費も払わずに追い返す中国式のやり方は、もちろん頭には来るけど、多少の予感はあったので最大の問題ではない。

一番驚いたのは、1日かけて洞爺まで行って運転代、ガソリン代、ガイド料すべて込みで2万という商売をしている人間がいるということ。運転とガイドを2人でやってるとしたらいくらなんでもひどいので、中国人か中国語のできる日本人かわからないが、1人で自分の車を出していくつかの写真スポットを回っただけじゃないだろうか。もしこの想像があたっているとしたら、白タクにもぐりガイド、どこをどうとってもまともな商売ではない。

お客さんに違法だと言っても、興味のない歴史や由来をごたごた聞かされずに安い値段で効率よく写真とおみやげを手に入れてくれる人のほうがありがたいに違いない。彼らは今頃私のことをお高くとまったバカ呼ばわりしているかもしれない。

でも私は意外に後味は悪くなかった。安いことこそが正義というわけのわからない市場経済に染まった中国人に屈することなく、自分を安売りしなかったから。まあ多少安売りしようにも、全然太刀打ちできる値段じゃなかったこともあったけど。

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コメント

  1. こだちゃん より:

    中国人とのやり取りが目に浮かぶようで・・・
    ご愁傷様でした(^^;
    大学受験する為、参考書他が欲しいというのでアチコチから本を揃えてあげたら後日友達の分も揃えてくれと言われてもう中国人相手のボランティアはこりごりだ・・・と言った叔母ちゃんがいました

  2. cowley より:

    うわーそれはひどい。
    中国人はできない理由をちゃんと伝えると納得するんですけど、とりあえず要求してみるという感覚がやっぱり日本人にはなじめませんね。

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