廃都〈上〉/廃都〈下〉

廃都〈上〉
廃都〈上〉 (日本語)
賈 平凹 (著, 原著), 吉田 富夫 (翻訳)


廃都〈下〉
廃都〈下〉 (日本語)
賈 平凹 (著, 原著), 吉田 富夫 (翻訳)


この本は西安にいたとき「中国国情」の授業で紹介されたものだ。中国の知識人についての話題のとき、この小説は舞台が西安であること、最近の知識人の退廃ぶりについて書かれていることなどを教えてもらった。

著者の賈平凹は陝西省の人なので、書店にきっとあるに違いないと思って探しにいったところ、まったく見つからない。地元の有名な作家の本をおいてないなんて…と思ったのだが、日本に帰ってからこの本が中国では発禁になっていることを知った。

読んでみるとたしかに「□□□□(著者200字削除)」になっている濡れ場が次々に出てきて、以前読んだ衛慧の『上海ベイビー (文春文庫)』くらいの性描写ならOKなわけだから、相当にすごい書き方をしているんだろう。

西安の授業では、小説の中に城壁の上で(オカリナみたいな土笛)を吹くというのが象徴的に出てくるということを聞いていて、そのときは廃墟になった城壁を勝手にイメージしていたんだけど、読んでみるとそんな感じではない。

退廃というとなんとなく悲劇性がありそうな気がするけど、どちらかといえば滑稽な感じで、でも実際に退廃していくときの人間ってドラマティックでなんかありえないのかもしれない。

こんなに厚い上下に分かれた小説なんて、ほんとに久々に読んだ。ちなみに、本自体はアマゾンのユーズドで上下合計268円で購入。送料のほうがはるかに高かった。

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