希望荘

小学館
発売日 : 2016-06-20
杉村三郎の中編4本。「ペテロ」なんかに比べると、ちょっと物足りなかった。
たとえば、井上喬美。あんなことをしたいきさつはわかったけど、そうせざるを得なかった理由、何がそうさせてしまったのかの闇みたいなものがあまり見えてこない。彼女はある意味でこの話の主人公なので、長編だったら通奏低音のように彼女の闇が描かれたんじゃないかなあと勝手に空想する。宮部みゆきは長編のほうがいい。
いずれにしても、杉村三郎は好きなキャラクターだ。事件に対する感情が一切なく、すがすがしいほどそれが徹底している。そういう意味では蛎殻の坊ちゃんもそうだ。2人でコンビを組んでくれないかなあ。
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