映像関連の翻訳料が安いというのはよく言われていることです。字幕はまだいい方で、プロダクションノートなどの翻訳料はありえないぐらい安い。普通にやれば、確実に最低賃金以下だと思います。
私も少し依頼を受けますが、たいていは数枚でほかの仕事の合間にやれるので、せっかく依頼されたからやるかと引き受けていました。
でも先日、ある方からこう言われました。将来大きな仕事に結びつくかもしれないけど、それはいつ来るの? どうせ少量だしと思っていても、合計するとかなりの量ではないの? もしかしたら向こうは、安くてきちんと仕事してくれる人をつかまえてラッキーと思っているかもしれない。もしそうだとしたら、ずっとこのままよ。
確かにそうだ、少し考える必要があるかもしれないと思っていたところ、これまでになく「ありえない」依頼が来たのです。曰く、200ページの翻訳のチェックを中2日、2万円。
もう無理。金額もさることながら、分量が異常です。私はやる以上はちゃんとやりたいです。でもこの納期ではとてもチェックになりません。これを無理してやってクレームが来たら、私にも責任の一端があることになります。「私には責任が持てません」と断りのメールを出しました。
映像業界がふつうの翻訳業界と違う原理で翻訳料や納期を算出しているのは知っているのですが、翻訳者としてやれる仕事とやれない仕事があります。料金もそうですが、自分の仕事の質を守るという意味でも。
もう映像関係とはお別れかなと思います。
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