クラスの概要
新学期になり、8班に上がりました。西安外語の一番上の班で、基本的に最初のクラス分けでこの班になる人はいないので、全員が下から上がった人です。今学期は前学期から8班にいる2人(1人は本科とかけもち)と7班から上がった2人の計4人体制、しかも4人のうち 3人が日本人。あと1人はトルコ人ですが、会社から派遣されて中国に来ているビジネスマンで、仕事をしながら中国語を勉強しているので、仕事が忙しいと全然授業に来ません。従って、ほとんどの授業が日本人3人という、たいへん静かなクラスになりました。
授業数は週に精読4、視聴説3、現代漢語2、写作1です。
精読
精読の先生は前期の写作の先生で、教科書は北京語言大学の『现代汉语高级教程(下)』。授業ではまず、新出単語のピンイン部分をかくして読めるようにして、それから意味のわからない語を質問してわからない部分をなくして本文に入ります。本文では語の使い方といったことよりも、この文は何を伝えたいのか、そのためにどういう構成やテクニックを使っているのかという文章全体のことについての理解が主です。
また、この授業のやり方も途中から変わり、実生活では最初に新出単語を勉強してから文を読むことなどありえない、8班に上がってもうかなり力がついてきたので直接本文を読むようにしましょう、基本的に全部は説明しません、特にわからないところをお互いに出し合って検討しましょうということになりました。これも全体をきちんと理解していないと、ある部分の意味を検討するときに的はずれなことになります。
また、10月頃から授業とは別に「課外閲読」が課され、週末に新聞か雑誌の記事を読み、それについて週明けに口頭で報告することになりました。読んで理解できるだけではなく、それをまとめて人にわかるように話すというのはなかなか大変なことです。これはすごくいい勉強になりました。特に自分が興味のあること、将来仕事をしようと考えている分野の記事を読むようにということでしたが、私は面白そうなのをあれこれ選んでいました。最初は『读者』や『青年文摘』をよく読んでいましたが、後半は『南方周末』をよく読みました。先生によると、この新聞は以前に比べると記事に鋭さがなくなったとのことでしたが、表面的ではない事件の裏みたいなものが読めるのが面白く、特に「代用教員」の記事はずっと追いかけて読んでいました。
精読の試験は新出語の意味を書くという問題と、ちょっと長めの文章の閲読が中心。かなりの分量のものをできるだけ短い時間で処理する、中国語でインプットし中国語でアウトプットするという、授業で繰り返し強調されていたことがそのまま試験でも求められました。
写作
写作は前学期と同様、2週に1回、先生も同じです。作文のテーマも単純なものではなくなり、論拠を挙げて自分の意見を書くとか(例えば「手机」という映画を見て、ハイテクが人間生活に与える影響について意見を述べる)、生き生きとした描写を心がけるとか(例えば「キャンパスの秋」というテーマで、細かい部分まで観察して散文を書く)、かなり難しくなっています。字数もだんだん増えて、清書が大変でしたが、3000字4000字という文章を書き上げられるようになったことは大きな自信になりました。
10月にHSK高等があり、それを受ける学生のための指導もありました。国慶節の休みには宿題として練習問題が出されたのですが、私はほぼ1日1本ペースで5本書き、HSKはかなり自信を持って臨むことができました。
最後に先生が見てくださったのが「翻訳」です。先生によると中国語への翻訳の指導をしてみたいと思っていたんだけど、中国語力のある高級班でなければできないし、高級班はHSKの試験とか、本科への転科試験とか、帰国の準備とか、いろんなことでたいてい学期末は授業に出て来なくなるので、これまでできなかったそうです。今回はマジメに授業に出てくる日本人ばかりだし、レベルが高いので(ホント?)、何か日本語の文章を中国語に訳してごらんなさい、私は日本語はわからないけど、訳出された文の善し悪しはわかります、というので、2編翻訳して見ていただきました。
写作の試験は先学期と同じ、授業の時間内に1本作文を書きます。テーマを決めて制限してしまいたくないけど、まったく自由というのも見当がつかないだろうということで「留学の印象」か「论~」(議論文)か「记~」(記述文)か、それで書けなければ何でもOK、字数は600字以上。もうみんなにとっては楽でしょうと先生はおっしゃってましたが、確かに。作文も数をこなすことが必要です。
1年間で書いた作文は20編になりました。日中訳だけは原文の著作権があるので公開できませんが、そのほかのものは全部「作文」のページで公開しています。よければ見てください。
視聴説
さて、視聴説(週3コマ)も引き続き、北京語言大学『秦淮人家――中高級漢語視聴説教程(下)』。最初の予定では前学期と違う先生になるはずだったのですが、その後調整されて前学期と同じ先生になりました。
前学期は人数が多かったことと、韓国人の女の子ですごく耳のいい子がせりふをどんどん聞き取っていたので授業もスムーズでしたが(彼女の1人舞台になってしまう嫌いはあったけど)、今学期は全然ダメ。教材のセリフもドラマの展開が前学期より複雑に、難解になっていることもありますが、聴き取りの力がないことを痛感しました。
この授業では映画もたくさん見ました。見っぱなしじゃなくて、内容を理解しているかどうかを確認する問題をやります。映画は面白いのですが、字幕がついているので、聴き取りの力がつくという点ではドラマの教科書のほうがよかったと思います。
この授業でも口頭発表がありました。テーマは何でもよく、毎回3~5分にまとめたスピーチをみんなの前で発表します。学生が少ないので、へたすると週に1回は順番が回ってきて、なかなか大変。10月に学校のスピーチコンテストがあって、8班は全員参加だったのですが、私はこの口頭発表で話した内容に手を入れて大会に出ました。結果は2等賞。続く陝西省留学生の朗読大会では3等賞をもらいました。大会前に先生に特別レッスンを受けたのですが、発音について、間違ってはいないし、意味も十分通じるけど、まだ中国語らしい発音とはいえない、口の形や舌の使い方が中国人とは違うと指摘されました。通じているからいいとも言えるのですが、「話しにくい」と思いながらしゃべっていることがあるのは確かです。発音に気をとられながら話していれば流ちょうじゃなくなるのは当然なので、発音の練習も必要だなと感じました。
試験は前学期と同様、主に新出単語を使っての例文づくり。ただ量がすごく多く、かなりの時間がかかりました。最後に質問に対して文章で答える(作文ですね)があり、私は「私のいちばんやりたいこと」というテーマに答えました。
国情
それから国情(週1コマ)。中国事情についての勉強ですが、先生は大学院の学生(女性)で、あまり教えた経験がないのかもしれない。日本人は授業中、指されなければ声を出さないものだということが不思議らしく、最初は話してることが理解できてるかどうか、ものすごく心配していました。
この授業はテキストを使わず、先生が自分でテーマをもってきて話します。文化面での話が多く、面白くないことはないんですが、私としてはもっと地理とか政治組織とかを勉強したかったという気もします。
試験は、当初4人しかいないので、1人ずつ口頭試問をしようかということでしたが、学校側から筆記試験にしてほしいと要望があったそうで、筆記になりました。問題は4問。1.漢字について書け 2.中国の祭日について書け 3.改革開放後の中国の問題点を書け 4.「富貴不能淫 威武不能屈 貧賎不能移」の意味と、現代中国に与える影響について書け。ノートや辞書も持ち込みOKだったので、ノートをちゃんととっていれば楽だったんですが、最初のうち手を抜いていたので覚えている範囲で書いた問題があり、しかも当日辞書を忘れてしまっていくつか漢字がうろ覚えで、満足のいく出来とは言えませんでした。成績はかなりいい点数をつけていただいたので、おまけかもしれません。
現代漢語
もう1つの授業は現代漢語(週2コマ)。これは、外国人に中国語を教える教師になる学科の中国人学生と一緒の授業です。日本の大学の中国語学科だったらたいてい開設されている「中国語概論」と同じような内容で、内容自体は勉強したことがあるのですが、ところどころ先生の話が聞き取れないのです。この先生は留学生のクラスも担当しているし、直接話したこともあるので、発音が悪いとかなまっているとかじゃないことはわかります。留学生を教える先生がいかに「留学生向け」の発音をしているか、実際の中国人同志の会話の発音がいかにくずれているか、よくわかりました。
留学生に対しては「本科の授業も聞いてみよう」という感じの位置づけのようで厳しくはないし、日本で勉強したことのある内容が多くて退屈なので、つい休みがちになってしまいました。一時期はこんなことなら、7班の報刊に出させてもらったほうがいいかなとも思いましたが、精読や視聴説、写作の宿題や課題が厳しく、少しは楽をしたほうがいいとあとから思うようになりました。
試験は中国人学生とは一緒にできないので(私たちの試験は12月末だけど、中国人学生は1月いっぱい授業があるため)持ち帰ってやって提出するという形式で、試験というよりはレポートに近いものです。分量がすごく多く、やった範囲も広かったのでかなり時間がかかり、結局、2学期間でやったテストの中でこれが一番成績が悪かったです。文を作るのは明らかな文法間違いでなければそれなりに点数はもらえますが、こういう知識を問われるものは×は×なので、しかたないですね。
2学期目終了
半年間やってみて、やはり7班より8班のほうが難易度も要求も高いと思いました。もうこれ以上の班はないし、人数も少ないので学生がついてこれるならいくらでも難しくなっていくという感じ。私にとってはありがたかったです。本当に「勉強した!」と思える半年間でした。
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