漢文の勉強は一段落です

漢文ひとり学び』の勉強を終えました。

高校の漢文のように句型を覚えて、それをあてはめつつ読むというやり方ではなく、訓点は一切出てきません。でも、書かれていない訓点を想定しつつ読んでいることがあるんです。若い頃たたき込まれたことって、忘れていないものです。

かと思えば、そのまま中国語読みして理解していることもありました。つまり、漢文(中国語の古文)を読むとき、漢文と文言文それぞれの断片的な知識を総動員しながら読もうとしているということですね。

翻訳している現代中国語の文章の中に、古文らしき言い回しの引用が出てきた場合、訳文に漢文の読み下し文を入れることが多いと思うので、読み下せるようになれたらいいなということで復習していたのでした。

でも今回ひととおり復習して、簡単に読み下せるようにならないことがわかりました。でも同時に、この本と漢和辞典を頼りにすれば、皆目見当がつかないこともなさそうです。というより、ここからいろいろな漢文を読んで訓練していくものなのですよね。

最後の課の課題文が思ったより読めたのと、漢文の訓練を本格的にする必要が今はあまりないので、これで一段落にしようと思います。忘れていた高校時代の知識を思い出せたり、現代中国語文法と関わる部分がわかったり、漢文の読み下し文が日本語の古文と同じではないことを知ったり、いろいろな発見がありました。

それから、漢和辞典は絶対あった方がいいと思いました。以前1冊持っていたのですが、いつの間にか処分していました(たぶん引っ越しの時)。探すとその新版が出ていたので、注文しました。以前は気づきませんでしたが、辞書の最後の資料編にも漢文についての説明があります。

全訳漢辞海 第四版
全訳漢辞海 第四版 (日本語)
戸川 芳郎 (監修), 佐藤 進 (編集), 濱口 富士雄 (編集)


漢文もできなければいけませんね

先日「国会図書館に行きました」という投稿で、翻訳原稿に毛沢東のことばが出てきたときのことを書いたのですが、「通訳・翻訳ブック」のサイトに、古典の引用についての記事がアップされていました。

みんな苦労されているんですね…。

有名なものならインターネットでも調べがつく可能性が高いですが、出典がわからない、もしかしたら出典はなくて筆者が古漢語で書いているだけなのか、わからない場合もあります。そうすると最低限、読み下しができて、何が書いてあるかわからなければいけない。

記事の中で竹内さんはさらっと読み下していらっしゃいますが、簡単なことではないです。

私は高校時代と大学院時代の貯金で読み下していますが、もうその貯金は使い果たしました。先日は「作」で誤訳してしまいましたし(やはり古漢語は難しいです)、天の声が勉強しろと言っているのかも。

コロナウイルスの影響で仕事が減っているので、このすきに少し復習しようかな。


やはり古漢語は難しいです

先日の古代史関連のトライアルで間違いを指摘されました。出土した文物Cに刻まれている銘文で、「A作B宝貴C」(AとBは人)というものです。接続する的などは当然、ありません。

私は「AはBの高貴なCとする(みなす)」と判断したのですが、連絡があって「AがBに高貴なCを作る」だというのです。

……ということは、作が二重目的語を取っているの!?

と思ったら、そういえばすごーく昔、中国語教室で論語をやったときか、大学院の授業のときか、そんな話を聞いたことがあるような気がしてきました。確かな記憶ではないのですが、間違いないだろうと納得して修正し、提出。指摘してくれた人(中国人)も「古漢語は難しいよね…」と言ってくれたので、少しはほっとしました。

古漢語も勉強したいなあ、しなきゃいけないなあ、と思うのですが、何をどこから手をつけていいのかわからない。日々の仕事ではまずお目にかからないということもあって、なかなか行動に移せません。

でも、せめて辞書くらいは……日本のAmazonでも買えるのが何冊かあります。迷う。



文言文

以前、台湾の文章を翻訳したことがあるのですが、文言文で書かれていてものすごく苦労しました。大きな案件だったので友人とチームで訳したのですが、あまりに苦労したので、集まって勉強会を開いたほどです。

その時、文言文の文法書があればいいのに…と思ったのですが、中国の教科書にしろ日本の漢文の教科書にしろ、実際の古典を解説し、たくさん読んで慣れろという形式のものばかりです。それが王道なのかもしれませんが、私は古典を鑑賞したいわけじゃなく、読めるようになるツールとして文法知識を手に入れたいだけなので、そこまで時間をかけたくなくて(ごめんなさい)、結局やらずじまい。

そうしたら最近になって、仕事ではないのですが少し古い中国語を読まなければならなくなりました。あの時の苦労を思い出しつつ、現代中国語の知識と漢字の意味と(辞書をひきまくっている)漢文の知識を総動員してなんとか読んでいます。ああ、文言文の文法書があればいいのに…。

以前もなかったのでダメだろうと思いつつ、淡い期待をいだいて調べてみると、なんと、ありました!!

白文攻略 漢文法ひとり学び


前半は白文(つまりは文言文ですね)を読むための基本的な文法。

たとえば「之」について、文言文では目的語+動詞+之という形が出てくるのですが、なんとなくカンで「動詞はこれだから先に書いてあるヤツはたぶん目的語だな、『○○ハ 之(これ)ヲ △△ス』っていう形だろうな」なんて感じで読んでいたんですが、この本にはずばり「之が動詞に着くと、その動詞を他動詞にする」と書いてあって、ああああ~すっきり~!

ほかにも「若は意味がたくさんある要注意の文字」だとか、「最初に書いてある単語が主語とは限らない、最初の単語が何かきちんと見極めるのが重要」とか、そうなの、それを教えてほしかったのということがいっぱい。

後半は常用漢字の解説(辞書として使える)があり、ここにある字に気をつけるだけでもラクに読めます。

白文を読むには漢字の知識がかなり必要なので、まったく知識ゼロの人がこの本1冊ですらすら読めるようになるのは難しいかもしれませんが、現代中国語を知っていたり高校で漢文をやった人なら、文言文を読むための知識がうまく整理できると思います。

もっと早くこの本を知りたかったと思いましたが、出版は2013年で、台湾の翻訳で苦労したのより後のことでした。

中古音

唐詩勉強会の予習をしようと、いろんな本やサイトを見ているうちに、やっぱり中古音について勉強したくなってきました。ほんとに入口だけでいいんだけど…。大学院時代に使った音韻学の本は、残念ながら現代中国語に関するものばかり。当時は中古音なんて興味なかったからなあ。

何かいい本はないかと探していたら、愛知県立大学の「古代文字資料館」というサイトに、中古音を勉強するための資料がありました!

音韻学入門-中古音篇-
漢語音韻学の難しさ -『音韻学入門』前書き-

これ、練習問題をやりながら理解を進めていく形式になっていて、ほんと、わかりやすい。そして、楽しい。オススメです。

このテキストをやるためには『広韻』と『韻鏡』を用意する必要があります。資料の中で勧めているのは台湾の芸文印書館で出版されたものでしたが、私は中国のサイトからpdfを入手してしまいました(原本の著作権が切れているのかどうか確認できないので、リンクを張るのは控えます)。ただしこれは、切韻残巻による修正がなされていない本みたいなので、使うには注意が必要。もし台湾に行く機会があったら芸文印書館のものを手に入れたいです。

練習問題とは別に、中古音についてざっくり説明した本がないか探しました。『中国文化叢書 1 言語』の中の「中古漢語の音韻」や『中国語音韻論―その歴史的研究』が定番テキストだそうですが、図書館で探すのも難しそう(閉架書庫でひっそり眠ってそう)。でも、もっと手が届きやすい本があったのです。

中国語概論
中国語概論
藤堂 明保 (著), 相原 茂 (著)


後半に「歴史的音韻論」として中古音と上古音をそれぞれ章立てし、コンパクトにまとまっています。近くの図書館の開架ですぐに見つかりましたし、大きな書店ならば今でも手に入ります。

私には、これでもう十分。大満足です。唐詩からちょっとずれてますが、そちらはまた今後のお楽しみということで。