思考停止しているのでしょうか

日本語から中国語へ訳されたものをチェックする、という仕事をよくやります。

以前は「私が訳したほうがましじゃないの」と言いたいくらいひどいものもありましたが、最近はそんなことはなくなりました。中国語ネイティブ翻訳者のレベルが上がってきているのかなと思います。

日本語から中国語への翻訳は、日本にいる中国人、日本に旅行に来た中国人がターゲットです。

日本にいる中国人という意味では、東日本大震災で、日本にいる外国人に十分な情報が伝わらなかったことが問題になり、公的機関がやさしい日本語とさまざまな外国語で情報発信する動きが活発になりました。最近ではコロナ関連の情報の翻訳がよく出ます。役所もお金がないとはいえ、防災など命に関わることについてはちゃんと予算を組んで翻訳会社に依頼してくれていて、これはとてもいい傾向だと思っています。

日本に来る旅行客向けという意味では、一時期、急激に需要が増えましたね(翻訳だけじゃなく通訳も)。翻訳会社に頼む予算が出せない自治体・企業・商店・施設などが出す怪しげな張り紙やパンフをかなりみかけました。機械翻訳に頼った場合もあるでしょうが、近くに中国人がいたので頼んだ、ということもあったと思います。日本語が話せる中国人だから翻訳ができるわけではないんですけど、日本はその点についての意識が非常にルーズというか希薄ですよね。日本語から中国語へ翻訳する人は玉石混淆だったのだと思いますし、翻訳会社も一気に需要が増えたので、いちおう翻訳者と名乗る人でも、どれくらい実力があるのか、きちんと見極める余裕がなかったのかもしれない、などと想像します。

最近はチェックに神経をすり減らすひどい翻訳にはまず出会わなくなりましたが、相変わらず多いのはカタカナの間違い。

たとえば「パソコンとデスク」が“电脑和光盘”。パソコンって書いてあったからつい引っ張られたのかもしれませんが、感染症予防対策でこまめに消毒しましょうという趣旨の文なので、ディスクが出てくる可能性は低いし(中国語ネイティブは、あまり文書の内容やメッセージを気にせず、単語to単語、文to文で訳しちゃう傾向もあると思う)、デスクってそんなに難しい単語じゃないですよね……。文章全体はきちんと訳されているし、「なるほど、こう言えばいいのか」と勉強になるところもあるのに、カタカナだけ、いきなりこのレベルになるのは不思議です。

知人の中国人の先生によれば、「カタカナには意味がないから、中国人は覚えられない」と言っていましたが、カタカナだった時点で自動的に思考停止しちゃうのかもしれません。

日本人は、会話に成語が入ったとたんに思考停止しちゃったりしますね。それと似たようなものなんでしょうか。というか、そんなの私だけ?