神去なあなあ日常

出版からだいぶたったけど、やっと読めた。
私はお仕事小説が好きなので、前作の「なあなあ日常」を楽しく読んだ。今作も楽しかったけど、神去村の人々のことがメインで、お仕事については期待したほどではなかったかな。
今作で印象に残ったのは20年前のことについて話すヨキ。山は、生きている人とあちらの世界の境界にある、というのが皮膚からわかってくるようなエピソードだった。ある意味で、この部分だけで十分お仕事小説になっていると言えるかもしれない。

虹を生むひと

 
虹を生むひと がんと命を巡る7つの旅
サトミ セキ (著)


こういうつきつめていく文章、好きだ。ただ、つきつめているのが生と死なので、読んでいて苦しい。苦しいけど、読むのをやめられない。そういう本。
たいていの部分は共感できるし、私にはない感覚を疑似体験しておもしろかったけど、昔先生のエピソードだけはいいと思えなかった。先生の中ではちゃんと理屈があって言っていることだと思うけど、その理屈の流れに乗っていない人にはさっぱりわからない言葉。こういう物言いは嫌いだ。筆者は先生の理屈の流れに乗っているんだろうけど、読者は乗ってない。たぶん、それをわかってて、あえて先生の言葉をそのまま書いたのだとは思う。でも、私は乗ってないのでさっぱりわからなかったし、おもしろくありませんでした。

お父さんが教える 13歳からの金融入門

 
お父さんが教える 13歳からの金融入門
デヴィッド・ビアンキ (著), 関 美和 (著, 翻訳)

経済についてまだらな知識しかないので、読んでみた。株や投資の知識の第一歩がすっきりわかって満足。

確かに、経済は学校で勉強するけど、投資のことを勉強する機会はない。大人になってから知りたいと思っても、入門書ですら「株をやろうと思ってるなら、ある程度はわかってるよね」というスタンスが多くて不親切だと思う。

「自分の収入の範囲で暮らす」という当たり前のことといっしょにウォーレン・バフェットが紹介されていたりして、子どもあつかいしていないところも◎。

現代中国経営者列伝

 
現代中国経営者列伝 (星海社新書)
高口 康太 (著)

成功する企業家には才能と運と時代があった。高度成長期の日本で成功した企業家もきっとそうだったのだろう。

一番面白かったのは、終章の最後に出ていたメイカーズと山寨王の話。中国の成長物語はそろそろ終わろうとしているように思える。これからは運と時代ではなく、自分の才能だけで戦っていかなければならない。そういう人たちの今後は、とてもおもしろそうだ。

翻訳地獄へようこそ

 
翻訳地獄へようこそ
宮脇 孝雄(著)


おもしろかった。というより、勉強になった。誤訳やまずい翻訳をしてしまうときは、たいていもう一歩の踏み込みが足りない、文化の知識が足りないというのは中国語訳も同じ。ただ、自分が訳してると、これ、変じゃない?と立ち止まれないのも事実。感性なのか、経験なのか。
それから、英語翻訳では参考書が豊富なのはうらやましい。The London EncyclopaediaとかWatching the Englishとか、中国語でもこんな本があったらなあと思う。

同時通訳者のここだけの話

 
同時通訳者のここだけの話
関根マイク (著)

私のようなはしくれの通訳でも「あるある」と思う箇所がけっこうあって、おもしろかった。
とはいえ、通訳をやっていない人、通訳に興味がない人にとっておもしろい本なのかな。たいへんだなとは思っても、共感することはできないように思う。かなり読者を選ぶ本。

沖縄でキャリアをスタートした後、東京に拠点を移した著者は、東京で改めて1からキャリアを積む必要があったと書いてあるが、やっぱりそうなんだね。私も東京に戻ってから、幸いまったく1からではなかったけど、やはり改めてキャリアを積まなきゃならないのかと感じることがある。

正直、それがしんどい。通訳という仕事は好きだけど、私には縁のない仕事だったのかなあと思うようになった。依頼をくれるエージェントが東京にもあるので、今ここできっぱりやめるというわけではないけど。

こういう本を読んで「あるある」と思えるくらいのキャリアは積めて、よかった。