ビブリア古書堂の事件手帖II ~扉子と空白の時~

ビブリアは気に入って欠かさず読んでいたので、シリーズ再始動という新聞広告を見て、すぐに買いに行った。
巻が進むごとに謎が深まる前シリーズと比べると、軽いジャブのような感じで、さらっと読了。
横溝正史はほとんど読んだことがない。死体、旧家、じめじめとかび臭いイメージがどうも好きになれないので。でもそのイメージを持ってるだけで、本作は楽しめます。
ところで、扉子ちゃんを栞子さんの分身と位置づければ、大輔くんに当たる相棒が必要。圭ちゃんがそうなるのかな…。とすると、恋愛要素はなしですね。

著者 : 吉田修一
文藝春秋
発売日 : 2015-05-08
うーん。台湾新幹線を絡める必要があったのか、疑問。台湾と日本とのつながりを強調したかったのかもしれないけど、それは人と人のつながりで示せばよくて、ほかの仕事であっても全然よかったんじゃないかな。
台湾新幹線に惑わされて人間関係とか、登場人物の魅力とかが浮かび上がってこない気がした。特に前半は人物が込み入りすぎてわかりにくかったし。
後半になってやっと見えてきたという感じ。嘘っぽい主人公2人のつながりよりも、勝一郎と中野のつながりに心を惹かれて、中野の最後の言葉は、心に迫るものがあった。私も年とったかな。

ストラディヴァリウスを上手に盗む方法

相当なクラシックおたくでないとわからない情報が満載。私は少しはクラシックを聴くけど、ほとんどちんぷんかんぷんだった。
小説自体は可もなく不可もなし。最初の「ストラディヴァリウス」が一番おもしろかった。「ワグネリアン」は2本目の落ちが見え見え。「レゾナンス」は学生時代の処女作だそうだが、これはいただけなかった。ミステリーに進んだのは正解だと思う。
内容とは別だけど、本の装丁がいい。カバーを取ると、表紙が作中に出てくるある作品の楽譜になっている。この装丁に惹かれて読む気になった。これは、電子書籍では味わえない楽しみだ。

希望荘

小学館
発売日 : 2016-06-20
杉村三郎の中編4本。「ペテロ」なんかに比べると、ちょっと物足りなかった。
たとえば、井上喬美。あんなことをしたいきさつはわかったけど、そうせざるを得なかった理由、何がそうさせてしまったのかの闇みたいなものがあまり見えてこない。彼女はある意味でこの話の主人公なので、長編だったら通奏低音のように彼女の闇が描かれたんじゃないかなあと勝手に空想する。宮部みゆきは長編のほうがいい。
いずれにしても、杉村三郎は好きなキャラクターだ。事件に対する感情が一切なく、すがすがしいほどそれが徹底している。そういう意味では蛎殻の坊ちゃんもそうだ。2人でコンビを組んでくれないかなあ。

最相葉月 仕事の手帳

著者 : 最相葉月
日本経済新聞出版
発売日 : 2014-04-02
4つの部分に分かれている。「仕事の心得」はノウハウ的な内容で、短いこともあって突っ込みが不足しているように思う。もうちょっと読みたいところで終わってしまう。「聞くこと」、ラジオインタビューの手法についての自己評価の部分はさほどおもしろくないが、インタビュー自体はすごくおもしろい。野町和嘉の写真をぜひ見てみたくなった。「書くこと」がやはり真骨頂だ。最相葉月の著書は何冊か読んでいて、好きなライターなのだが、これほどのめりこんでいかなければ書けないものなのか。「読むこと」、何冊かは読んでみたいと思った。自分の好きなジャンルがあって、興味を引かれたものとそうでないものがある。
いろいろなところに書いた短文を集めた本はときどきあるが、おもしろいものとそうでないものが混在していることが多い。これもそういう印象。