通訳としてのキャリアアップ

どうやったら通訳になれるんでしょう? と聞かれることがあります。

中国語力、通訳力を伸ばす努力をするのは言うまでもないですが、それ以外に、通訳になろうと思ったらたいていの人は通訳学校に行くでしょう。でも通訳学校がないところでは、これは言っても仕方がありません。

学校に行く以外には、通訳案内士の資格を取ることでしょう。誰でも試験が受けられて、受かればプロだと言えて、実力について一定の保証があって、情報(場合によっては仕事)の得られる案内士の団体に入れて…。入口としては最適です。

そう言うと「案内士の資格がなくても通訳やってる人はいますよね」とか「自分はガイドをやるつもりはないんですよね」とかいう人がいます(いるんです)。

案内士の資格があったほうがいいかどうか、判断できるのは通訳になってからではないんでしょうか。私はガイドはやっていませんが、案内士の資格を取って(取るために時間とお金とエネルギーを費やして)損はなかったと思います。私は通訳として仕事をするようになってから合格したんですが、気持ちの上で柱ができた気がしましたし、やはり資格があることで一人前だと認知してもらえることが多いです。

では実際にプロになってから(あるいは通訳案内士合格を通さずに)どうやってキャリアを積んでいくか? これには、誰にもあてはまる正解はないと思います。

通訳としての実力、通訳以外のセールスポイント、仕事につながる人脈、居住地の市場、結婚・出産・育児など自分のライフステージ、通訳として収入がない場合の経済的基盤などなど、どれ1つとっても人によって違います。自分の条件を考えて、その場その時で最良の方法を模索していくしかない。

それ以外の問題だってあります。たとえば政治。ここ数日、訪中中止、来日中止のニュースを見るたびに「通訳は仕事がキャンセルになってるんだろうなあ…」と思ってしまいます。日中国交正常化40周年に関わるさまざまな行事をキャリアアップのチャンスだと思っていた通訳もいるかもしれません。

民間交流にまで影響が出ている今回の事態はちょっと心配ですが、日中関係が決定的に決裂することはどちらの国も避けたいわけですから、時間はかかってもまた仕事ができるはず(と信じたい)。今は実力をつけたり、ふだんできていない勉強をしたりする時かもしれない。これもその場その時で最良の方法を模索することなのだと思います。

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