翻訳

通訳でも翻訳でも、やれる仕事はなんでも拾ってやってるんですが、これまで翻訳はあまり好きではありませんでした。というのは、時間が読めないから。

原稿をもらって、ざっと目を通して、だいたいの作業時間を考え、納期と照らし合わせて、承けるか納期の交渉をするか、といったところですが、翻訳会社もプロなのできびしい納期のときは「厳しいかもしれませんが」と言ってくるし、そう言われないときは私の目算でも大丈夫そうです。

ところが承けたあとで、たった1語の訳語を見つけるために想像以上の時間がかかることがたま~にあります。これがほんとに怖い。考えまくり、辞書を引きまくり、ネットを調べまくり、図書館や近所の書店に参考になる本がないか調べまくり。ときには本当に書店に参考書を買いに行き、その分野の基礎から勉強して訳語を探したこともあります。

この分野なら前やったからとか、この分野にそんな特殊な単語が出るはずないだろうとかはあまり関係なくて、それは突如現れるのであります。なので翻訳を承けると、とにかく最後まで訳してしまわないと! と気持ちが追い詰められるんですよね。

ヘンなたとえだけど、通訳は体力的にキツイけど、終わりの時間がわりあいはっきりしていてサッカー型。翻訳はきつくはないし、自分のペースでできるけど、終わりが見えなくて野球型。

以前はお客さんをしくじりたくないし、力もなくて、ほんとに追い詰められて食事しながら作業したりしてました。でもそんなことしていいはずない。最近はキッパリやめました。食事のときにはパソコンから離れてちゃんと食事をする。作業が長引く時には、途中でお茶の時間も取る。

そうした方が気持ちや頭の切り替えができるということもそうなんですが、たとえ調べのつかない単語にぶつかってもどうにかできるだろうという、一種の自信みたいなものができてきたのかもしれません。つきあいの長くなった翻訳会社さんには、対策を一緒に考えてもらうこと(大元のクライアントさんに確認してもらうとか)もできるようになってきました。翻訳を手がけている友人も増えたので、守秘義務に反しない範囲内なら意見を聞いてみることもできます。

通訳の依頼が激減したからしょうがない部分もありますけど、最近は積極的に承けるようにしています。以前ほど翻訳はイヤじゃなくなってきました。

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