小脚与西服

こんな本読んだ
詩人・徐志摩の最初の夫人・張幼儀の半生を、その弟の孫である張邦梅が聞き取る、という形式。
最初はさほど興味も持たずに読み始めたが、結局最後まで読んでしまった。とはいえ、面白かったかと言うと、答えに困る感じだ。
徐志摩と張幼儀は中国で初めて西洋式の離婚をした夫婦である。つまり、何かの理由で夫が妻に三行半をつきつけるという従来の離婚ではなく、双方の合意によってということだ。
張幼儀の話は抑制が効いていて、できるだけ客観的に話そうとしている。でも最初から最後まで、自分から見た徐志摩との関係をしゃべっているだけなので、読んでいてうんざりするところがある。男と女の話は一方だけから聞くのは眉唾だ。面白かったと言えないのはこういう理由。
それを除くと、(少なくともこの本を読む限りは)張幼儀は子どもを育て上げ、離婚した徐志摩の両親に最後まで頼られ、経済的にも事業を成功させた女丈夫。きっと気丈で頭がよく、責任感が強いのだろう。それこそが徐志摩が張幼儀を好きになれなかった理由のような気がする。
「小脚と西服」というタイトルは、実際には纏足はしていなかったものの、纏足しているのと同じくらい旧式観念をもった張幼儀と、早くから海外留学し、西洋の価値観を身につけた徐志摩を象徴しているように(最初のうちは)見える。でも最終的には張幼儀の方が現代的な自立した女性となり、徐志摩の方は昔の読書人というか「纨绔子弟」のままで終わった。そうするとこのタイトルはかなりの皮肉である。
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